ひだまりBlog

接遇のノウハウについて何から学ぶのか/『こころのナース夜野さん』

設立3年目のひだまりのいえは福祉業界未経験者が多く、また、福祉業界をかじっている者であっても、基本の接遇スキルが身についていない人もいて、いわば素人集団です。「そんなネガティブなことをホームページで発言してよいのか」と思われるかもしれませんが、まず、現状をしっかり認識する姿勢は大切です。

「世話人さんへの教育はどうしたらよいのだろうか」とネットを見渡せば、様々な業者が「接遇セミナー」「ヒアリハット研修」「ストレスマネジメント研修」等を開いています。どこもきちんとしたパッケージを作っている様子ですが、自分の会社の業務に当てはめるとカッチリとは噛み合ってきません。なぜ噛み合わないのか。まず、福祉系の研修は介護サービス対象のものが多く、精神障がい、知的障がい向けは少ない。ひだまりのいえは軽度の精神障がい者向けですから、ほしいスキルは「接遇」というよりは「相談援助技術」と呼ぶほうが正しくて、それは病院の精神保健福祉士さんが行う「対話」スキルなのです。わりと高レベルの話になりまして、それを福祉業界初めてのパートさんに求めるというのもハードルが高すぎないか、と自問自答するのです。

相談援助技術を学ぶのには難しい学術書みたいな本を読まないと身につかないのかといえばそうでもありません。そもそもパートさんはそんな本は読みませんから。「これでもアタシには60年の人生経験がありますから(キッパリ!)」まあ、これがデフォでありましょう。

そんな勉強ぎらいの世話人さんにお薦めしたい漫画があります。

『こころのナース夜野さん』です

この漫画はかつてOLをしていた20代の女性が看護師へ転職し、精神科の病棟と訪問看護ステーションに勤務しながら、さまざまなケースに出会い、患者の問題を解決していくドラマです(解決というよりは問題の共有といったほうかよいか)。

ほんわかしたタッチの画で、出てくるエピソードは新人ナースの夜野さんにとっては初めての経験ばかりなのですが、この漫画のよいところは、取材が丁寧にされているのです。ありそうな話なのですよ。第1話目では、家の中が虫だらけでいられないと訴える、援助には拒否的な男性の患者に対して、訪看のスタッフは害虫駆除業者に扮して訪問します。そして一緒に虫を退治します。(彼の妄想上の虫ですが)そんな訪問をしていくうちに虫の出現はなくなり、その男性は後日、他の医療機関の診察で医師に「付添の方はどなたですか?」と尋ねられて「精神科の看護師です」と普通に応えるのです。わかっていたのですね。

もう一つ逸話を。病棟内の若いチャーミングな女性患者が女性看護師に相談事をしている場面では、先輩の女性看護師が、「いつまでも、話聞いちゃダメ!最初に「15分ね」とかルールを決めて話しなさい!」と叱責するのです。この女性患者は境界型パーソナリティ障害なのです。ほんの数コマで、なぜ15分以内と時間を決めないといけないのかを解説するネームにはなりませんが、読者は読みすすめるうちにどうしてなのかなんとなく察するのです。読み手の想像力が、少ないページであってもいろいろ状況を穴埋めして「事がわかる」という漫画ならでは理解のしやすさです。

世話人は系統だった教育を受けてから現場に出るなんて手厚い仕組みはなく、初回のOJTを受けたらもう一人でホームを守らねばなりません。そこで、ただいたずらにシフトをやり過ごす毎日を送る人と、利用者が寝静まってから、私達の仕事のヒントになる本を読んでいる人ではスキルに開きが出来てくると思います。勉強は、要するにそれを理解すればよいので、教科書は漫画でもなんでもよいのです。

(※世話人さんへ。ひだまりのいえでは西さんはこの漫画を紙媒体で全巻持っています。私はキンドルで持っています。興味のある方にはいつでもお貸しいたします。)

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