ひだまりBlog

インチキカウンセラーに気をつけろ/副読本『Shrinkシュリンク〜精神科医ヨワイ』

先日、福祉業界初心者のある世話人さんに、この仕事をするのにあたりどんなことがわからないか、どんなことを勉強したいかを尋ねたところ、「利用者の病気、症状のことがわからない。知識がない。」と応えてくれました。ご利用者さまとの雑談(接遇)は意識的に行われるテクニックを要する作業ですので、統合失調症や発達障害について、さらに知的障害も含めてのそれらミックスについて、私達は学ぶ必要があります。わかりやすい書物もあるので、もしも尋ねられたら、私は「この本のこのページを読むとこんなことについてわかりやすく書いてあるよ」と応じることができます。例えば『統合失調症 治療・ケアに役立つ実例集』春日武彦/主婦の友社』はわかりやすくてオススメです。

また、例によって漫画でよい副読本はないだろうかということで、今日は『Shrink〜精神科医ヨワイ』を紹介します。

この漫画は原作者と作画の他に精神科医が監修していてこれがとても簡潔でわかりやすいネーム(ストーリー)を引き出しています。

主人公のヨワイ医師は新宿ひだまりクリニックという診療所を運営する若い男性です。この先生の診察の技量はなかなかのものなのです。病気を治療していくプロセスが丁寧に描かれていて、現代の精神医学の標準的治療といってよいと思うのですが、これも監修者が優れているからこそ。

題材となる病気は、パニック障害、微笑みうつ病、双極性障害、大人の発達障害、境界型パーソナリティ障害等、私達が社会生活を営む上で身近な精神疾患についてで、ひとつの病気に数話を使ってストーリーを展開させていきます。主人公のキャラはありがちではありますが、原作者の筋書き作りがうまいので漫画として面白いです。

ヨワイ医師は、いつも昼には同じフランスパンを食べ、部屋は汚部屋で、身だしなみは髪がボサボサで発達障害の傾向の高そうな人です。「僕は発達障害ではありませんよ。」と本人は否定されたのですがそれはなぜなのか、本編を読んでみてください。

話は突然、突拍子もなく飛ぶのですが、精神障害系の福祉施設のホームページを目にしてぎょっとすることがあります。駆け出しの運営者(NPO法人の理事長みたいな肩書きが多い)が「カウンセリング」を謳っているのですね。お金をとっている人もいます。惹句を読むと「人は変われる」的な自己啓発めいた文言が書かれてあったりもして、私はくわばらくわばらです。まことに恐ろしい。インチキカウンセラーの指南を仰ぐよりも『Shrink』を読んで自己点検することを私はお薦めしますよ。

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