ひだまりBlog

被虐待児と発達障害について

夕方のローカルニュース等で親による児童への虐待のニュースが頻繁に報道されるようになりました。「実の親がお腹を痛めた我が子を虐待する心理が理解できない」と思う方も多いことでしょう。しかしながら虐待される子供がなぜ虐待されることになるのか、そもそも論を語る人はほとんどいません。私は子供のケースを扱うようになり見えてくることがありました。虐待する親はそれほど極端なパーソナリティでない普通そうな人もいて、さらに自分に照らし合わせたら「俺もこんな子供を持ったら虐待するんじゃないか」そう思わせる子供が結構いるという事実です。

児童が虐待されて警察に駆け込んだりすると、児童相談所に一時保護されます。

児相は子供の権利擁護を実践して、親に対して虐待をしないように指導します。これは当たり前なのですが、親の視点に立てば止むに止まれぬ事情があったり、親もどう子供を扱ったらよいのかわからず、悩み、解決の糸口も見つからず、結果、子供を叱り続けることも多いのです。

「そもそも児童がとんでもない行動をしているからじゃないの?親が暴力をふるうのも仕方がないところもある。」

という視点で語る援助者を私はまだ見かけません。

幼稚園の頃から他の園児に暴力をふるい先生や親を困らせていた、小学校に入ったら低学年次より親の財布からお金を抜き取ることがあった、自分のやりたいことは曲げられず押し通し続ける、暴れる、嘘をつく、相手が怒るまで挑発しつづける…。こういう子供はどのように育てたらよいのでしょうか。「親の教育、しつけが悪いのだ」とこれだけで結論づけていいのでしょうか。心底悪い子供は存在します。

反抗挑戦性障害という病気が精神医学にはあって、主に子供につけられる病名ですが、上記の問題児はこれが当てはまる場合が多いことでしょう。

行為障害のある子どもはたいてい発達障害を持っています。自閉症スペクトラム、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、学習障害、これらを抱えています。児童精神医学のアプローチを要するケースです。受診は早いほうが予後がよいそうです。ですがこの視点がぜんぜんない児相があり私は大変困りました。「発達障害はありません」「発達障害は、今はほとんどありません」とこんなケースの照会を受けることが多いのですが、心理士の記録を読むと『おいおいここに発達障害特有の行動がこんなに書いてあるじゃん』と知るのです。児童心理士は発達障害には言及しません。

児童相談所はなぜ発達障害を隠す、もしくは気づかない(気づこうとしない)行動をするのか私にはまったくわかりません。(親が我が子になぜ暴力をふるうのか?)我が子の発達障害ならではの行為障害によりストレスがたまり爆発するのですよ。

被虐待児の多くは発達障害を持っている。

この事実を大通りで語る人、書物に記す人をまだ見かけたことがありません。裏通りで囁かれるくらいです。我が子に暴力をふるう親は特別に暴力的な人物ということもないのです。虐待の連鎖はよく知られた話ですがその前に発達障害の連鎖があると思います。我が子を虐待する親も発達障害である場合が多いのではないでしょうか(エビデンスは示せませんが)。被虐待児のケアマネジメントにあたってはこの問題に焦点を当てないと解決はしていきません。児童相談所の仕事は増え続けるばかりです。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP