ひだまりBlog

船頭が多い場合のケースの進め方について(丘に上げぬ工夫)

ごくたまにですが医療保護観察のケースがやってくることがあります。医療保護観察とは重犯罪を犯しながら精神的な理由で不起訴となった人が社会的に更生していくシステムです。法務省の医療保護観察所を所管とし、対象者は千葉県においてはたいていまず下総医療療養センターに入院し、その後民間の精神科病院や自立訓練施設へ転院して、最後にグループへ調整されてくるのです。在宅で終了するケースもありましょう。医療保護調整官が開催するケア会議で構成されるメンバーは多種で大人数です。まず担当医、病院のソーシャルワーカー、病院の心理士、保健所のワーカー、市町村の障害福祉課担当者、このへんは必須です。ケースが病院から生活訓練施設へと移ると、障害者総合支援法に基づく相談支援専門員も関わってきます。いよいよ退院して地域での生活をするにあたる具体的なケアプランが必要になるのです。この時点ではたいてい、訪問看護ステーション、病院のデイケアサービス管理責任者、B型就労支援事業所サービス管理責任者、生活訓練施設管理者などがケア会議に加わり、そのケースが在宅ゴールでなくグループホームへの入所となりますと、ひだまりのいえが会議に加わってくるのです。本人やその家族も出席しますから、会議の参加者は15~20名になることもあります。一人のクライエントに対してこれだけ複合的にケースワークを行うことは珍しいのではないでしょうか。

ケースのハンドルを握るのは医療保護調整官です。医療保護観察法の大きな輪の中に障害者総合支援法の輪が途中から出現します。それを仕切るのは相談支援専門員です。グループホームへ調整される私からするとディレクションをお願いするのは相談支援専門員ということになります。ですがこの仕組みの二重構造といいますか輪が2つある感じは、相談支援専門員もケースを進めにくいこともあるかと思います。さまざまな相談職が介入しながらその人々の仕事の力量によってお互いの力関係が変わってくるのです。ですから会議の席での発言内容はその担当者の仕事の力量を推し量る意味でも重要です。頓珍漢な発言をする出席者がいると会議は白けてしまいます。

最近、問い合わせのあったケースは児童相談所や保健所が関わっていたのですが相談支援事業所はハンドルの切り方がよくわからない様子で、仕事を受ける側の私も困りました。

様々な機関の思惑、意見がその立場から展開されるのですがそれをまとめていくのは相談支援事業所だと思います。ケアマネジメントをする人は相談支援専門員です。ここまで書いて「何を言っているのかよくわからない」と思う方もいらっしゃるようです。プランニングの意味がわかっていないというか概念がないのでしょう。(本人の要望を汲んでサービスを提供するのが相談員の仕事である)といういわゆるデマンドレベルで考えが止まっていて、そのケースの自立のための課題を抽出する(ニーズを抽出)というケアマネジメントの基本的手順がわからないのです。介護保険法の世界ではこの概念すらわからない人は稀なのですが障害福祉の世界ではまだまだ多いです。その地域の中核的な相談センターの相談員が、要するにケースのもっとも川上にいる方がケアマネジメントの仕組みをわかっていないと川下にいる我々は困惑するのでした。

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