ひだまりBlog

自立援助ホームの運営はとても難しい件

自立援助ホームを立ち上げて10ヶ月ほど経ちました。被虐待児へのケアは精神障害者向けグループホームとは大きく異なるところがあり、現在も手探りでトライアンドエラーを続けています。難しいのです。

なぜ難しいのか。まずインターネット上ですらその情報量が少ないです。社会において自立援助ホームという言葉はまだ浸透していませんし数も少ないです。その成り立ちは里親制度が大きくなって組織的になったというか、優しい家族が私的に被虐待児を自宅に受け入れるところから始まっているそうです。施設としての仕組みはあまり整っていなくてボランティアな精神により支えられてきました。それなりに数ができれば自立援助ホーム協議会なる団体もできるし行政による補助のシステムも整われてきたのでしょう。がまだ制度としてあいまいな面が多く介護保険制度に象徴される福祉システムと比較すると前時代的に私には見えます。

対象者が未成年であることが制度をあいまいなものにしている、あいまいにせざるを得ない面があります。「契約」という法のしくみに子供はなじまないのです。

親の虐待を受けて児童相談所に一時保護をされると児相内の一時保護所に子供は収容されます。親は子供に対して親権という強い権利を持っていますが、それを引き離す力を児相は持っています。「うちの子を返せ!」『返せません』みたいな親と児相とのやりとりはよくあることでしょう。児相は子供の安全を確保しながら親と面談し、養育の支援をします。親による養育を不可と判断したら次は養育する施設へ調整することが求められます。そこで子供が次の行き先に行くに当たり誰の意思を重んじるのか。子供の意思なのか、親の意思なのか、児相の意思なのか。例えば子供が15歳の高1年齢の場合は誰の意思が尊重されるべきなのか。難しいと思いませんか。役人はこのようにいうでしょう「処遇会議によりみんなで決定しました。」

親による酷い虐待と受けてきた15歳の少年がいた。児相は保護をした。そして児童向けの施設へ調整した。でも子供自身はそこに行きたくなかったらどうしましょうか。子供は家に帰りたいと訴え続けていたら。それでも施設へ送るべきでしょうか。(通常は送ります)

児相の職員に説得されて子供は施設にやってきた。だが、そこで素行障害をいろいろやらかす。職員に暴言、施設内で窃盗、反抗的態度をとる、他の子供をいじめる。児童向け施設もギブアップして児相へ引き取りを頼む。さあ児相は次の手をどうするか。この手のことは日常的によくあることなのです。児相の担当者はとにかく次の行き先を調整する必要に迫られます。県内の施設へ電話をして空き情報を確認します。「それはどんな子供ですか?」と施設の担当者に尋ねられたら、これまでのすべてを話すでしょうか。子供は規則の厳しい施設には行きたくないだろうしそもそも自宅に帰りたいのです。

実際のケースはもっと複雑です。子供は自宅には帰りたくない。だが施設では悪事を働く。

触法行為をする。どこまでいけば家裁による送致をするかとか。矯正施設でいくぶんよくなった。それでは自由度の高い環境に行かせてみるか。

被虐待児はテレビのワイドショー的には涙が出るほどかわいそうな存在ですが、彼らの多くには行為障害があり両親を困らせ周囲を困らせてきています。インターネット上でそれを詳細に語る場所はないのでした。だから難しいのです。

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