ひだまりBlog

自立とは働くこと。生活保護からの脱却について。

自立とは働くこと。生活保護からの脱却について。

自立支援、自立支援というけれど、何をもって自立と言えるのでしょうか。私は介護保険の世界にいた時には、毎日、ご利用者さまの「自立に向けたケアプラン」を考えてそれを作ってきました。要介護2~3くらいの方ならば、例えば「排泄を自立できるようにする。」「一人でご飯を食べられるようにする。」など自立のイメージもつきやすいものですが、要介護5で意識レベルが低く寝たきりの人への自立とはなんだろうかと悩んだものです。

寝たきりの人への自立にむけたケアプランを思い出すとこんな感じでした。「おむつ交換+体位交換1日4回(巡回型訪問介護)、週2回の訪問入浴、訪問看護週1回…」昔のことで細かいことは忘れましたが、この利用者の「自立」とは何を指すのか説明しましょう。「まず、褥瘡(床ずれ)を作らないでくれ。寝返りは無理でもちょっとは身体を動かしてくれ。定時に身体を変えるし、ギャッチアップして身体を起こすからその時に嚥下もしっかりして気管にモノを溜め込むな。声かけに反応してくれるとこちらの気持ちもうれしいぞ。あなたの笑顔は周囲の人を元気にするぞ。と、私の考えた寝たきりの人の「自立」とはこんなです。たとえ寝たきりであっても自立に向けたケアプランはあり得ると思っています。

一方、変わって軽度の精神障がい者世界であるひだまりのいえにおける自立支援はまったく様子が異なります。就労というライフイベントを達成する一大目標があるのです。就労準備性ピラミッドの階段を少しずつ登り、デイケア→B型就労→A型就労→一般の企業へ就労でアガります。口でいうのは簡単ですがこの道すじはなかなかに難しいですね。

就労できない人は(表現はきついですが)お金を稼ぐことができない人です。親に金銭の支援を受けて生活をしますが(それは決して恥ずべきことではありませんが)親も歳をとるものです。障害者年金だけでは満足な生活はできません。40歳を過ぎればご本人も辛いものだし人生に自信がなくなってきます。さらにはご利用者さまのご両親も障害をお持ちのケースもままあり、生活保護を受給されている人も多いです。当然ご本人も生保受給です。

生活保護受給者の世界でもあるのですねグループホームって。

いわゆる貧困ビジネスといって生活保護受給者を囲い込んでタコ部屋を与えて寝泊まりさせて、入所者は僅かな小遣いをもらい貯蓄などできない暮らしに甘んじることになる、そんな施設が世の中にはあります。入所した人がいつまでもそこに居続けるのは運営者としては楽なものなのです。(もちろんケースによりけりでいつまでも安心して生活できる場所としてひだまりのいえは機能しています。期限付きの施設ではないのでご安心を。)

自立支援のために私達は動きます。そしてご利用者さまは少しずつ社会的な機能を身に着けて就労していきます。就労により生活保護を解かれた方が、ひだまりのいえには2名いらっしゃいます。設立3年未満で20名にも満たない施設で、すでに2名が生保から抜けて退所されました。利用者の退所は短期的には売り上げとして少々痛いです。ですが、これが本来のグループホームのあり方であり、ケアマネジメントの目的を達成しそれが船橋市周辺の病院のPSWや相談支援専門員に周知されて「ひだまりのいえはやることをやってるんだ」と思っていただけること、こちらの価値のほうがずっと大きく尊いことだと考えています。

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コメント

    • タンノタカヨシ
    • 2023年 3月 05日

    荻野さま こちらのHP、ブログを拝見しております。
    私がこれまで経験してきた中で、GHにおける「自立」「自立支援」「就労施設」についての疑問に、
    お応えいただけそうな感じがして楽しみです。
    よろしくお願い致します。

      • 荻野吉重
      • 2023年 3月 06日

      過去ログをお読みいただきありがとうございます。

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