ひだまりBlog

福祉にカリスマはいらない

グループホーム運営に携わる皆様お疲れさまです。もう数年前のことですが、ある障害者向け就労支援を事業展開する会社の営業の人の面談を受けました。千葉県内の事業所を回って取材をしているというのです。何か社内向けの広報物を作成するためという体でアポをとり、最終的には「利用者さんを紹介してね」という営業です。

『ひだまりのいえは独自にどんなことをされているのでしょうか?』

おそらくこんな質問をすれば、福祉の事業者という輩は「ウチはよそとは違って独自にこんなことをやっていてね…」と話が進んでいくのでしょう。インタビューのとっかかりの定番の質問だと思います。私はこのように返答しました。

「ひだまりのいえには独自性はないのです。」

営業の方は驚いていました。私はさらに続けました。「というか独自性を持たないように気をつけて運営しています。」

そして私のお決まりのケママネジメントについての話と、それをスタンダードに追求していくだけ。崇高な理念というものはない。スタートアップしたばかりの会社で大上段に振りかぶって大きなことをいうほど経験値もない。とにかく障害者総合支援法に則り、遵守しようと思うだけ。それがちゃんとできるようになってから、崇高な理念を考えてもいいかなと。あえていえば、ダイバーシティであることだけは実践している。うちは職員もフィリピン人、中国人と外国人スタッフもいる。日報は英語で記録してもよいことにした。ただ多様性を重んじるなんて当たり前のことであえて標榜するものでもないともいいました。

お相手は「へぇ〜」というリアクションで不思議な感心のされ方をしていました。

障害者福祉事業者(経営者)の態度って、例えば(ろくろを回しながら)「知的障害者の作る陶芸作品は素晴らしいのだ。このいびつな形をご覧なさい。彼らはみんな天才だ!」とか「アニマルセラピーの心理的効果について知っていますか?(と論文の内容を滔々と語る)」とか「やっぱり人間の本質は農業だ!土に触れよう!」とか何か信念、それもややもするとスピリチュアルな方向性を持ち、拝聴する者はただうなずきながら、(なんか失礼な発言をしたらいかんな。ここはとにかく相槌を打っとこう。)みたいになりがちです。

毒舌家の私は「福祉を運営する人ってかなりの確率で、結局、自分に酔っている人が多いでしょ?」と営業マンに差し向けました。ニヤリと笑いながら。

福祉の仕事での自己陶酔は悪い結果を生むと私は考えます。でも人間は自己陶酔したい生き物なので、私の場合(例えばカッコいいクルマを乗り回す)といった行動で昇華させるようにしています。仕事の達成により自分に酔ってもいいとは思いますがそれは(ケースワークがうまくいった)という、あくまでも標準的な仕事の結果についてですね。

福祉の事業にはスティーブ・ジョブズは入りません。ドラッカーの「マネジメント」でも読んでおけばいいと思います。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP