ひだまりBlog

定時制高校の入学式に出席した話

すっかり春めいてきました。ひだまりのいえでは精神障害者向けのグループホームの他に自立援助ホームを運営しています。これは児童福祉法により整備されている施設で、主に児童相談所からケースが調整されます。対象となる利用者は15歳から19歳の児童です。(4月より18歳で成人になりました)

自立援助ホームひだまりのいえでは現在、入居者は1名です。利用者のA君は事情があって1年遅れで定時制高校に入学しました。私は保護者代わりに入学式に出席したのですが、いろいろと思うところがありました。

その日は15:00会場とのことで体育館に入るとやや厳粛な空気を感じました。親御さんらが我が子の晴れの姿を待っているという入学式なら当たり前の光景なのですが、私は少し甘くみていました。定時制高校を見下げた気持ちでいたのでしょう。集金袋を手にしたようなジャンパー姿のお父さんとか、フードコードにいるようなスタイルのお母さん(ジャージ姿とか)で気軽に来ているのではないかと思っていたのですが、皆さんきちんとしたジャケット着やおしゃれなスーツ姿だったのです。私もスーツの上を羽織っていましたがその下はパーカーでした。この気合の差は私がA君の肉親ではないからでしょう。物見遊山な気持ちなのです。

式典というものはフォーマットが決まっていてたまに経験すると心が洗われる感じがしました。生徒入場で担任の先生を先頭に二列縦隊で3クラスに分かれて生徒が入ってきました。私はA君の姿を追うのですがどこにいるのかわからず「本当にここにいるのか?バックレたんじゃないか?」と心配になりました。後で姿を確認してホッとしました。はじめはA君が高校生になった実感が今ひとつ沸かなかったのです。型通りの進行で君が代が演奏されたりすると私はよくわからぬ感情でいっぱいになり、涙が出そうで堪えるのに大変でした。なんでしょうこの気持ちは。

入場でやってくる生徒たちは一言でいうとデコボコなのです。背の低い高いもありますが、爪入りの制服を着ている者もいれば私服の者もいる、セーラー服もいれば、イスラム教のヒジャーブ(ベール)を被っている者もいる。肌の色も浅黒くて、恐らくフィリピン、タイといった東南アジアや中東の人だとわかる風貌の者もいる。生徒が一人一人名前を呼ばれるのですが中国風名字や、イスラム風名字、また、姓名でなく名前だけ呼ばれる生徒もいました。(例をあげるとスティング、マドンナみたいに)。年齢も15歳のあどけなさの残る容貌の生徒の中から、19〜20歳ほどに見えるすっかり大人になった見た目の外国人もいました。ダイバーシティな世界は定時制高校のようなふだん陽の当たらない世界で根付いているのですね。

あとでA君にも言ったのですが、普通校に通うよりもずっと高い経験値を得られるのではないかと思いました。

定時制高校の人間関係は普通校より濃密で楽しいこともありそうですが良いことばかりではありません。中途退学者の率は高いのです。学年主任の先生が「まず、国に帰国してしまう」「7月8月と欠席が増えると取り戻せなくなってずるずると休んで辞めてしまう」とおっしゃっていました。生徒たちにとって就業しながら学校に通うことは大変なことです。それも外国人にとっては言葉や生活習慣の違いもあり定着できない人も多いのでしょう。

3クラス65名が入学されたこの高校。先生や事務職員はけっこう大変な毎日なのだろうなとお察ししました。しかし教育の本質を経験できるのではないかとも感じました。

私は施設のホーム長として保護者として学校に登録されています。入学願書提出時にも学校側より問い合わせを受けました。私が保護者としての機能を果たせるのか、ふさわしいのか学校も考えたことでしょう。児童福祉法の中にあって私のなすべきことはどこまでなのか正直よくわかりません。私は自分の仕事をボランティアとは考えません。ですが、教育系福祉の世界は仕事とボランティアが明確に分かれていなくてそのあいまいさをよしとしていうのでしょうね。私はできる範囲で頑張ります。

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