グループホームの職員を世話人といいますが、Indeedなどの求人サイトで『世話人募集』を見つけた際に、この仕事をするのにはどんなスキルが必要なのか、未経験の方にはイメージがつきにくいのではないでしょうか。初任者研修(ヘルパー2級)は福祉未経験者にはよい資格だと思いますが、世話人をするにあたりヘルパーの資格は必須ではありませんし。ひだまりのいえでは多くの世話人さんがスタート時は無資格です。
求人サイトで「未経験の方でも研修が充実しているので安心です。」なんて言葉をみるにつけどんな研修をされているのかとても興味があります。ひだまりのいえでは基本的にOJTを一回経験したら次回は一人でシフトに入ります。(どんなことを勉強したらよいのでしょうか)という質問に対してこれまでよい回答が与えられませんでした。
一冊の本を読むことでこの仕事をするにあたり必要な知識を身につけることができないだろうか。そんな書物をついに見つけました。『援助者必携はじめての精神科第3版』(春日武彦著)です。
325Pとやや厚い書ですが、始めから読み物として読み出してもスルスルと頭に入っていきやすい、読みやすい文体です。さらには辞書のようにわからない疾病を調べるのにも向いています。障害者グループホームの運営で関わるご利用者さまのパターンはほとんどこの本の中に収まると思います。「パターンで利用者を見よう」という視点はとても大切です。ご利用者さまは一人ひとり異なる人間です。そこを踏まえながらも各ケースをパターンの中に当てはめて「この人はあの人とこういう部分ではよく似ている」という考えを持つと、仕事を標準化することができます。『心の余裕がすべてに優る』なんてセクションがありますが、知識を持つことにより心に余裕も生まれるのです。帯には『「心かき乱す人たち」への対応を求められるすべての人へ』とあります。私達の仕事はまさに心をかき乱されるわけです。精神科に受診する患者をたった7つのタイプに分けるなど斬新な気がしますがとてもしっくりきます。①統合失調症②(躁)うつ病③神経症圏④パーソナリティ障害⑤外因性ないし器質性精神病(認知症も含む)⑥発達障害圏⑦依存症。この分類はとてもシンプルで私達が関わる人はこの7つに皆さん当てはまります。
そして「例えばクレイマーと向き合う時にはどうすればよいか」が一番はじめに書かれています。とても実用的な本なのです。BPD(境界性パーソナリティ障害)についての知識がないとこの仕事はできないよ、とも書いてあります。BPDについては患者について記された箇所の他に、医療や福祉の分野にはBPDの人がけっこう紛れ込んでくるよとも書かれています。その対策についてはその人が退職するしか策はないですよとこれもまあそうだなと思うことが書かれています。とても具体的でストレートな表現です。
この夏、読みたい一冊です。
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