ひだまりBlog

どこから説明したらよいのかわからなくて困る件について

これまで多くの世話人さんと接してきて、どう返答したらよいのか困ったことがございました。

もう数年前のことなのですが、ある世話人さんから「退職します」とのこと。ビジネスチャットにて社長から聞きました。私は退職の理由は聞かずに受け付けました。こちらから慰留はしませんでした。もう仕事を引退されても不思議でない年齢かなと思ったのです。彼女は元気な70代の女性でご利用者さまともよくおしゃべりをするし、お掃除が得意で、私が訪問する時にはいつもせわしなく動き回っていました。熱量の高い方でした。他の世話人さんには退職する理由を伝えていて、それは「荻野さんに嫌われているみたいだから」というものでした。こちらは「う〜ん」と唸るばかり。別に嫌っているとかそういうことではないのです。

その世話人さんA子さんが勤めるホームには若い統合失調症の利用者がおりました。とてもデリケートな人で部屋に引きこもりがち。部屋から出てきては洗面台で手を洗う常同行動のある人で、その人なりにメンタルの調子を整えようとしている様子が伺えました。感覚過敏がいろいろあり、職員はその人にはとても優しく接していました。ちょっと表現はよくないですが腫れ物に触る感じでした。私が面談すると、その人はわりと論理的に話をしてくれました。自分の体調の良し悪しも伝えられるし、対人関係もバランスよく他の利用者とも良好で、病状が悪い時でなければ他人への思いやりの心もあります。

A子さんのその人への接遇は、「元気かい!」というとてもポジティブな態度。「若いんだから頑張ろうよ!」と思い切り励ましがちな接遇です。

ホームの利用者は基本的に、洗濯や掃除は自分で行います。出来ない人の場合はそれなりの援助も入りますが、その利用者は少なくとも自身でやろうとする気持ちがある人でした。

ある日、その利用者から憤然とした連絡が私に入りました。外出して、自分の居室に戻ってみると、洗濯後の衣類が、洗濯ハンガーにきれいに掛けられてきちんと干されていたのです。(本人は洗濯後に籠に入れたままだった)A子さんは留守中に合鍵を用いて入室し、勝手に衣類を干してしまったのでした。これはびっくりしますよね。そして憤然とした気持ちになります。利用者さんは若い女性なのでした。下着までしっかりと干されていた。

私は、高校時代に自宅に帰るとカーチャンが私の部屋を勝手に掃除して憤然とした気持ちになったことを思い出しました。母は私のエロ本(ビニ本)数冊を、耳を揃えてピシッと学習机に置いていたのです。ベッドの向こう側に落ちて行方不明になっていたあのエロ本を。カーチャンってどうしてああいうことをするのでしょう。嫌がらせを。

そのデリケートなご利用者さまは強いショックを感じて、実家に帰ってしまいました。そしてそのまま退所となったのです。ケース経過はもちろん職場で共有されました。

私はA子さんのリアクションも気になりました。「ワタシのアレが悪かったのかしら…」とシュンとされていたら励まそうと思っていたのですが、彼女はその利用者の退所と自分の行動を最後まで関係づけることができませんでした。まったく気づいていなかったのです。

A子さんの「元気ぶり」はその後も変わることなく続いていきました。そこで今回のブログのテーマとなるわけです。「私はA子さんにいったいどこから説明すればよかったのか」

「どこから」も難しいですが、そもそもA子さんは私の説明を理解してくれるだろうかという問題があります。A子さんは私と会うたびに多弁でたくさん言葉が繰り出されるのですが、会話が終わって結局、彼女は何を言いたかったのか、よくわからないのです。そういう人ってたまにいますよね。私は人格否定のようなことはしたくありませんから、言葉を選びながら、彼女へ通る言葉を探していくと、結局、何も言葉が見つからなくて、何も言えずに終わるのです。このような私の態度に対してA子さんが「荻野さんは私のこと嫌いみたいだから」と思うのも確かにそうだなと感じるばかりです。

「どこから説明したらよいのかわからない問題」はたびたび発生します。そして、これまで「うまくいった!」「成功した!」といった試しがないのです。私は持って行き場のない徒労感に襲われます。コミュニケーションとは誠に難しいものです。

(※利用者の情報を改変しています)

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コメント

    • みなぽん
    • 2024年 6月 30日

    共感いたします。。

      • 荻野吉重
      • 2024年 7月 01日

      ホント、難しいものです。

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