ひだまりBlog

『精神疾患をもつ人への関わりに迷ったら開く本』

新年あけましておめでとうございます。年末年始は9連休くらいしたいところでしたがそうは問屋がおろしてくれません。LINE WORKSが動かない日はないし、書き込みがあればチェックをします。外泊中のご利用者さまが「帰らない」と連絡してきたり、おせちが1食分足りなかったりと、インシデントは起きるものです。私の新年はホームで明けました。グーグルフォトが「4年前のあなた」と4年前のお重に詰めたおせちの写真を見せてきました。あの頃は業者のおせちではなく、私がスーパーで購入して詰めていたのかと懐かしい気がしました。ホーム3箇所まではやっていました。鍋を囲んだりもしました。5箇所もあると私一人でホームを回って正月イベントを行うのは厳しいです。私の仕事はお手玉みたいなもので、2、3個ならどうにか回っていきますが、4つ5つとなると時に落とします。私はジャグラーです。

多くのホームを運営しながらお手玉を落とさぬ工夫を日夜考えています。組織づくりについての工夫はこの場でも言いたくはありません。秘伝のたれと同じです。たれの研究に勤しむ日々なのですが、接遇のノウハウについてはまだまだ自慢できるものではなく苦労しています。特に自立援助ホームは難しいですね。未成年の育成は難しい。

そこで書物に解決の糸口をみつけようとします。人間の行動のすべてを網羅するアンチョコなどないのですが、昨年は「はじめての精神科」という本に光明を見ました。BPD(境界型パーソナリティー障害)についての記述がわかりやすく、ある種の社会におけるタブーに切り込んでいるところがあり良書でした。あれはよい本だった。今回のご紹介はマンガが主体となる看護理論についての入門書です。

マンガは「こころのナース夜野さん」の著者でもある水谷緑さんが作画しています。原作の中村創さんは看護師です。彼は訪問看護をしながら、問題の解決の糸口を看護理論に求めました。この本では8人のレジェンド(看護学者)が紹介されています。一人の患者を通していろいろな看護理論の説明がされていくのですが、ストーリー展開がとてもわかりやすく、理論もとっつきやすいものとなっています。

例えば、グループホームを運営される皆さんは次のことで悩むことはありませんか。

「ホームを退所したい!」とご利用者さまが訴える。さて、その人は退所するにふさわしいのか。それともまだホームにいたほうがいいのか。入所するにあたってのアセスメントには慣れている私でも、施設から一人暮らしへの調整についてアセスメントするのは意外と難しいものです。精神科病院における地域以降支援は時には1年ほどかけて行います。買い物や金融機関の利用などを経験し、ようやく合格した先がグループホームということも多いのですが、グループホームからアパートでの一人暮らしも乗り越えないとならないハードルはいろいろありましょう。「とにかく出たい」モードになっている人について、現状を説明しながら目標を立てて自立(退所)へと導くことはなかなかに難しいですね。ご本人はとかく衝動性が強い状態ですから。

この本で私は初めて看護理論に触れました。患者への接遇の方法論は心理学がすべて担っていると思っていました。実践する看護師が体験的に接遇の理論を構築しているとは知りませんでした。看護理論はある種、哲学にも通じます。医学のような科学的根拠に依る自然科学とは別の土俵なのです。ベースには看護師としての職業倫理があり源流はナイチンゲールにたどり着きます。この本はマンガにより理論をとてもわかりやすく説明していますが、世話人さんお薦めの本と認定するかどうかはまだ決めかねています。抽象性がやや高くて読んでもわからない人もいるのではないかと思ったのです。読解力に自信のある方は読んでみてください。

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